2012年6月4日月曜日

日米教育委員会 Step 2   B. 留学方法の選択


 以下、留学する際に考えられるさまざまな方法について説明します。それらを読んでから、現在考えている方法以外にも興味を引かれたり、自分の目的を達成 するのに適した選択肢がほかにもないかどうか、もう一度上記の表に戻ってチェ ックをしてみるとよいでしょう。


1.大学・大学院の種類

 大学・大学院にはさまざまな種類があり、どれを選択するかによって取得できる学位も異なります。 「大学学部課程」「大学院課程」を参考に、現在より高い学位を取得することを希望するのか、深い教養を身に付けたいのか、卒業後にすぐに役立つ実務能力を身に付けたいのか、研究を主体としたいのかなど、 「留学目的ワークシート」でまとめたことを見直しながら、自分が重視するポイントに沿って大学・大学院の種類を選んでいきましょう。


2.入学方法

 実際に入学する段階では、まずアメリカの大学の学位を取得するのかどうかが、 ひとつのポイントになります。

 アメリカの大学の学部課程で学位を取得するのであれば1年生(freshman)から入学するほかに、日本の大学から編入(transfer)したり、日本の大学を卒業してから再度アメリカの大学の学部課程に入学し直して第2学士号(second bachelor)を取得するなどの方法があります。また、アメリカの大学に入ってから ほかの大学に編入することも可能です。

 すでに日本の大学を卒業している人が大学院へ留学するのであれば、修士号を取得するのか博士号を取得するのかを自分の目的に照らし合わせて選択していき ましょう。  また、特定の期間だけアメリカの大学で勉強したい、現在日本の大学に在学中で日本で学位を取得するが、1年間だけアメリカで勉強したいということであれば、アメリカの大学の学位は取得しない(non-degree)で留学する方法もあります。

 各個人、各大学の判断でさまざまな留学パターンが考えられますが、ここでは、 以下の一般的なケースについて述べます。
1)学位を取得する場合
A.学部課程(2・4年制大学)1年次よりの入学
B.大学院(修士・博士)課程への入学
C.編入学( transfer)
D.第2学士号( second bachelor)
2)学位を取得しない(non-degree)場合

1)学位を取得する場合

A.学部課程(2・4年制大学)1年次よりの入学

 日本の高校を卒業、あるいは同等の資格を保持している場合、アメリカの学部課程に留学することができます。2年制大学では準学士号、4年制大学では学士号が取得できますが、アメリカの2年制大学に入学し、後に4年制大学に編入して学士号を取得する方法もあります。

B.大学院(修士・博士)課程への入学

 日本ですでに学士号を取得している場合は、修士号や博士号の取得を目指して大学院に留学することが可能です。


アラバマ州でどのように多くの高校です。

 アメリカの大学院は、学部課程での専攻分野(major)が異なっていても進学が可能な場合が多く、また大学を卒業後に一度就労してから分野の異なる大学院に進学することもしばしばです。ただし専攻分野によっては、大学でその分 野に関する一定の単位数を修得していること、あるいは同分野の学士号を取得 していることが大学院入学の条件になっていることがあります。こうした入学条件は pre-requisite と呼ばれており、分野や大学院により異なります。一般に理系や芸術系の大学院では、pre-requisite や志望する分野での作品(ポートフ ォリオ(portfolio)等)を要求されることが多いようです。一方、経営大学院(ビ ジネススクール)等の専門職系大学院では pre-requisite の代わりに職業経験が求められる場合が多いといわれます。

 博士号を目指す場合には、修士課程を経ずに博士課程に直接入学することができますが、ある大学で修士号を取得した後に違う大学に移って博士号を取得しようとする場合、単位の互換が難しいために科目の履修(course work)の取 り直しをさせられる場合があります。そのため、修士号のみを取得するのか、博士号まで視野に入れるのか等の進路選択を慎重に行い、自分の希望に沿ったプログラムを持つ大学院を選択することが重要になります。

C. 編入学(transfer)について

 アメリカの大学の学部課程では、日本に比べて、ある大学からほかの大学に籍を移す編入学が一般的に行われており、日本の高等教育機関(大学、短大、 専門学校等)から編入学することも可能です。

 アメリカの大学は日本の学年制・通年制と違って、単位制・学期制で運営さ れており、必要単位が取得できた時点で卒業できます。従って、編入する場合も「何年次に編入」というよりも、「○単位移行できたので、編入後卒業までに 必要な単位は残り○単位」「残り○単位を終えるにはあと何学期(セメスターま たはクオーター)必要である」という考え方になります。

 なお、単位の移行数はたいてい編入後に決定されます。単位認定にはそれなりの時間と手間がかかるため、通常、大学側は志願者が実際に正式の出願をしてから審査しますし、大学によっては入学後に、面接や1学期目の成績も参考にして最終的に単位の認定を決定する場合もあります。それはアメリカ人学生でも同様です。従って、取得した単位が一番多く移行できる大学を探すために、 前もって単位がどのくらい認定されるかを知ることは、たとえ大学に問い合わせたとしても難しいのが現状です。 また、一般的にアメリカの大学はresidency requirements / academic residency といって、学位取得を希望する大学に「○学期以上在籍」または「そ の大学で○単位以上を取得」しなければいけないという規則があります。さら に単位認定に関する規則(transfer credit policy などと呼ばれる)の中に移行可能な単位数の上限が設けられているという点にも留意が必要です。

a)アメリカの大学間の編入

学部課程 アメリカの2年制大学の進学コースから、協定(articulation agreement)を結んでいる4年制大学への編入の場合、単位の移行は比較的スムーズに行われ ます(「編入の多様性と柔軟性」参照)。


ティーテストがいかに難しいか

2年制大学から提携を結んでいない4年制大学へ、また4年制大学からほかの4年制大学などへの編入の場合は、編入を希望する大学の公式サイトや大学要覧で編入学の条件を確認し、願書を取り寄せ、過去の成績証明書(transcript)、各科目の詳しい記述(course description)やシラバス(syllabus)等の必要書類を提出して審査を待ちます。この手順は一般的なものですので、あくまでも大学により異なる場合があることを留意してください。なお、編入学の際には、 出願者の在籍大学あるいは出身大学が認定されていること(「認定制度」参照)が基本条件となっています。

大学院  大学学部課程と異なり、大学院での編入は難しいといわれています。アメリカの大学院は、課程ごとに独自のプログラムを設けているため、たとえ同じ専攻分野でも大学院間の単位の互換性は低く、大学院によっては他大学の単位を 全く認めない場合もあります。さらに residency requirement といって、「学位取得を希望する大学に一定期間以上在籍するか、またはその大学で最低限の単位を履修すること」を卒業の条件とする大学が大多数です。従って、たとえば修士号をすでに取得している学生が博士課程に入学した場合、最初の修士課程 で履修した科目の単位が少数認められることもありますが、基本的には難しいと考えたほうが無難でしょう。

b)日本の学校からの編入学

学部課程   日本の大学・短大で取得した単位を、アメリカの大学に移行して編入する際 も、学生がすでに日本で取得している単位の授業内容を、アメリカの受け入れ大学が審査し、それがその大学・学部の卒業要件単位に該当するかどうかを判断して単位を認定します。従って、日本の大学に在学中でこれからまだ国内で 単位を取得する余地が残されている方は、編入希望先の大学要覧を見て、取得すべき科目と同等の内容の科目を日本で修めておけば、その単位が認められる可能性が高くなります。  大学・短大などから編入する場合、個人の取った科目、取得単位数、成績によっても、最終的にどれくらいの単位が移行できるかは異なります。編入希望先の大学の公式サイトや大学要覧で、編入学の条件を留学生(international student)用の情報と共に調べ、願書を入手し、その指示に従って出願書類を用意します。一般的には、単位認定の判断材料として、在学中の大学の科目名、単位数、成績、成績の基準等が記入された英文成績証明書(transcript)に加えて、 各科目の詳しい記述(course description)、シラバス(syllabus)等を英文で作 成して送付します。

 日本の大学の情報やシステムをよく知らないアメリカの大学も多いので、自分が通っている大学や授業時間数などの説明も英文で用意し、日本の出身大学で正式書類として承認してもらった上で上記の書類と共に提出するとより効果的です。日本の大学・短大の中には、すでにそのような書類を用意している学校もありますので、在籍校あるいは出身校に問い合わせてください。もし学校側がそうした書類を用意していない場合でも、すべて自己判断の下に独力で作 成するのでなく、教務担当者や大学の教員に相談して協力を得ながら作成・提出することで、認定される単位数が増える可能性も高くなります。一般に、提示できる情報は多いほど相手の判断の助けになると考えてください。


ここで、iは、TOEICテストを受けることができますか?

 日本の専修学校(看護学校等)からアメリカの大学への編入も可能です。その際、日本の教育制度における専修学校の位置づけや、専修学校から大学への編入が文部科学省に認められていることなどを、アメリカの編入先大学に説明することで、専修学校で取得した単位が認められることがあります。詳しくは、 文部科学省のウェブサイトをご覧ください。

大学院  日本で大学院に在籍している場合やすでに修士号を取得している場合も、基本的には前述のアメリカの大学院間同様、単位の互換性は低く、必要単位を編入先のアメリカの大学院で履修しなければならないことが多いようです。


c)第2学士(Second Bachelor)

 すでに4年制大学を卒業して学士号を持っている人が再び学部レベルに入学 し、(一般的に)異なる分野で取得する学士号を第2学士号(second bachelor's degree)といいます。アメリカの大学によっては、すでに学士号を持っている人 の学部課程への入学を認めないこともありますので、第2学士号を志望する場合は、同時に大学院への進学も検討してください。アメリカでは、すでに学士号を取得している人は、入学条件(pre-requisite)を満たしていれば大学院に 進学するのが一般的だからです。

 大学時代とは全く異なる分野を大学院ではなく学部課程で学びたい場合や、 進みたい大学院で要求される入学資格を満たしていないため学部での履修が必要な場合、あるいは大学院入学資格を満たしていても第2学士号の取得を希望する場合は、まず第2学士として入学できるかどうかの可能性を志望大学に問 い合わせましょう。特に人気の高い私立大学や州立大学では、第2学士号を志望する学生の入学を認めないケースが多く見られます。公立(州立)の4年制大学は多くの人々に高等教育の機会を与えることを目的にしていますので、すで に学士号を持っている人を大学は受け入れにくいという事情もあることを考慮 しましょう。

 また、大学によっては、学士入学の枠は設けていなくても、編入学の枠で出願できる場合があります。

第2学士か大学院か?
 
 日本の大学を卒業してすでに学士号を持っている方が、アメリカで別の分野を勉強したいという場合は、大学院に進むべきか、第2学士号(second bachelor's degree)を取るべきか判断に迷うところです。

 まず実際に、自分の希望する大学院の入学資格や大学の第2学士受け入れ方 針を確認してください。その上で、自分の経歴や目的等を照らし合わせて、どの ような可能性があるのかを見つけていきましょう。

 大学院の入学条件については上記の「1)学位を取得する場合」でも詳しく述べていますが、分野を変えての留学を考えている方は、自分が学びたい分野で特定の入学条件があるのかどうかを、大学院の公式サイトや大学要覧で調べ ましょう。大学院の入学資格を満たしていても第2学士号の取得を希望する場合は、なぜ大学院ではなくあえて第2学士としての入学を希望するのか、理由を求められます。

 こうした手順を踏んだ上で、もし両方の道が可能ということであれば、「多くの分野を広く浅く勉強する大学学部レベル」と、「専門分野を深く掘り下げる大学院レベル」というそれぞれの特徴を、自分の留学目的と照らし合わせて考えてみるのもひとつの方法です。


 大学院のほうが高い英語レベルを要求されるのではないかと危惧される方もいらっしゃるかもしれません。確かに、一般的には大学院のほうが高い英語力を求められますが、英語力のみを基準に決めるのは適切な判断ではありません。なぜなら、大学院では単に英語力だけではなく、出願書類を総合的に判断して、合否が決定されるからです。また大学学部課程といえども、実際の授業では高い英語力が必要です。

 どちらの留学方法がより自分の人生の目的にかなうのか、長い目で見て考えることが大切です。

2)学位を取得しない(Non-degree)場合

学部課程   資格取得や大学院出願に必要な単位を取得する、学位は関係なく自分の興味ある勉強をする、あるいは日本の大学を休学して短期間留学し、学位は日本の大学で取得するなどの理由で、アメリカの大学に一定期間だけ在籍する場合は、学位取得を目的としない(non-degree / special student)留学となります。 ただし non-degree student は、すべての大学が受け入れてくれるとは限らないので、受け入れの可能性について、希望する大学に問い合わせましょう。出願手続きや書類等は、一般的には学位を取る留学と同じですが、これも各大学に より異なりますので、non-degree の条件を確認することが必要です。

 学位を取得しない留学でも、取得した単位は後に、学位取得目的で編入学した場合、要件単位として移行できる可能性があります。

 Non-degree student は、学位取得のためのカリキュラムに従う必要がないので、比較的自由に好きな科目を選択できるメリットがある反面、クラス登録は、学位取得を目的とした学生(degree student)が優先される場合が多く、必ずしも希望の科目が取れるとは限りません。

 日本の大学を休学して行く際には、留学中に取得した単位を日本の大学に移行できるかどうか、在籍している大学に問い合わせましょう。アメリカの大学と提携を結んでいる場合、日本の大学に支払った授業料が提携校に振り替えられたり、留学期間が日本の大学の在籍年数として換算されたりする交換留学プログラムがあるケースも最近増えています。

 たとえそのようなプログラムに参加せずに個人で留学した場合でも、取得した単位を日本の大学の卒業要件単位として認める場合や奨学金の対象になるケ ースもありますので、日本の在籍大学の国際センター等に相談してみましょう。

大学院  大学院は通常、学位取得を目的とする学生の入学が優先されます。従って non-degree での留学は、日本の大学院に在籍していてアメリカの大学院と交換協定がある場合や、special / visiting student(論文執筆等のためにアメリカの大学の施設を使ったり、大学院の授業を受けることができる)の枠を設けている大学院へ行く場合などの例外を除いては、機会が限られることがほとんどで す。

そのほか 学位を取得しない留学には、学位ではないが特定のカリキュラムを履修することで得られる修了証(certificate)の取得を目的とした留学、夏学期への参加 (summer session study / summer school)などがあげられます。


 修了証は、職業教育の一環として高校卒業後に取得するもののほか、学士号取得後にさらにコースを履修して取得する修了証(post baccalaureate certificate)、修士号取得後にコースを履修して取得する修了証(postmaster's certificate)など、さまざまなレベルがあり、コースへの受け入れ条件も異なり ます。夏学期のプログラムも各大学により内容や受け入れ体制が異なりますので、いずれも希望大学の情報を調べましょう。。

■ 関連サイト
フルブライト・ジャパン 「よくある質問−1年間の留学」



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